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細胞の観察(基本事項と実験内容)HEADLINE

細胞の発見
 1665年,イギリスのロバートフック(Robert Hooke)は,自作の顕微鏡でコルク片を観察し,小さく分かれている部屋のような構造を細胞(Cell)とよんだ(「ミクログラフィア(Micrographia,顕微鏡図譜)」)。
オランダのレーウェンフック(Leeuwenhoek,1674)は,単レンズ式の顕微鏡で生きた微生物を観察した。その後,ドイツのシュライデン(Schleiden,1838)は植物について,シュワン(Schwann,1839)は動物について,「植物(動物)の構造と機能の単位は細胞である」という細胞説を提唱した。更にフィルヒョウ(Virchow,1858)は,「すべての細胞は細胞から」という有名な言葉を残した。  

細胞(Cell)・・・生物(動物,植物)の体をつくる共通な基本単位。
 細胞は,形や大きさは様々であり,大きさは1〜100μm程度のものが多いが,大きいものでは,ダチョウの卵(8p),ヒトの坐骨神経(1m)などがある。人の肉眼の分解能は0.1mm程度とされる。
長さの単位:1μm(マイクロメートル)=1/1000mm(ミリメートル)

単細胞生物(Unicellular organism)と多細胞生物(Multicellular organism)
 生物は,体が一つの細胞からできている単細胞生物と,多数の細胞からできている多細胞生物に分けることができる。ヒトの成人では約60兆個の細胞からできている。
単細胞生物・・・アメーバ(動),ゾウリムシ(動),ミドリムシ(動,植),ケイソウ(植),ミカヅキモ(植),クラミドモナス(植)
細胞群体・・・2つ以上の単細胞生物が集まって1つの生物のように生活するもの。イカダモ(植),パンドリナ(植),オオヒゲマワリ(植)
多細胞生物
・・・ミジンコ(動),アオミドロ(植),マツ(植),ヒト(動)

細胞の構造と働き
 細胞は,核とそれ以外の細胞質からなる。更に細胞質は,細胞膜,葉緑体,ミトコンドリア,液胞などの細胞小器官からなり,これらの間は細胞質基質という液状の成分で満たされる。植物細胞だけに見られる構造は,葉緑体,細胞壁,液胞(動物細胞でも見られることもある)である。
@核(Nucleus)・・・ふつう細胞には1個存在する。遺伝子の本体DNAを含む。酢酸カーミン液で赤く染色される。
A細胞質(cytoplasm)・・・細胞の核以外の部分。次のB〜Gを含む。
B細胞膜(Cell membrane)・・・細胞を包む半透性の膜。
Cミトコンドリア(Mitochondrion)・・・呼吸の場。細胞のエネルギー生産を行う。
D葉緑体(Chloroplast)・・・光合成を行う場。葉緑素(クロロフィル)が含まれる。
E液胞(Vacuole)・・・成長した細胞に見られ,物質の貯蔵などを行う。内部の液を細胞液という。
F細胞質基質(Cytoplasmic matrix)・・・細胞質の液状部分。酵素やタンパク質を含み,原形質流動をする。
Gゴルジ体(Golgi body)・・・物質の貯蔵や分泌に関与している。
H細胞壁(Cell wall)・・・細胞膜の外側にある全透性の仕切りの壁。植物細胞のみに見られる。
Iリボソーム(Ribosome)・・・タンパク質を合成する場。
J小胞体(Endoplasmic reticulum)・・・扁平な膜構造で,物質の輸送路。リボソームの付着した粗面小胞体と付着しない滑面小胞体がある。


細胞の観察

(1)生葉とシリコンバラン(刺身や弁当の仕切り)の観察
 
植物の生葉と,刺身や弁当のしきりに使われている「バラン」を顕微鏡で観察して,見かけは似ていても,生きた細胞と人工物とでどのように異なるかを比較する。生葉では,細胞からできていることを確認する。

大葉(アオジソ:Perilla frutescens viridis Makino)とモミジ(イロハモミジ:Acer palmatum)の生葉と人工物であるバランを比較する。

    

  
 アオジソの生葉の顕微鏡写真   イロハモミジの生葉の顕微鏡写真
 葉脈がはっきりと観察でき,仕切りによりいくつかの部屋(細胞)に
 分かれていることがわかる。 

  
 
アオジソのバランの顕微鏡写真  イロハモミジのバランの顕微鏡写真
 葉脈を模倣した部分では,筋模様になっているが,細胞らしきものは見当たらない。

(2)タマネギの鱗葉の表皮細胞の観察(核の確認)

 タマネギの食用にする部分(鱗茎)は,肥大した葉(鱗片葉)が同心円状に重なってできている。→イの部分,茎はウの上の白い部分である。

   

@タマネギの鱗片葉の内側に,カッターなどで5o四方の切り込みを入れる。
Aピンセットで1片をはぎ取り,スライドガラスに載せる。
Bスポイトで水を一滴滴下し,気泡が入らないように柄付き針でカバーガラス を支えて,静かにかぶせる。
C顕微鏡で観察する。
D酢酸カーミン液を一滴滴下し,核を観察する。
E細胞のスケッチを行う。

  
  水を滴下してそのまま観察。   酢酸カーミン液により核を染色。   


(2)オオカナダモの葉の観察(核と葉緑体の確認)
オオカナダモはトチカガミ科の単子葉類で,観賞魚店などでアナカリスという名称で,一束(5〜6株)が300円程度で販売されている。

 

@日光に当てておいたオオカナダモの若い葉を1枚ピンセットでつまみ取る。
Aスポイトで水を一滴滴下し,気泡が入らないように柄付き針でカバーガラスを支えて,静かにかぶせる。
B顕微鏡で葉緑体と原形質流動のようすを観察する。
C酢酸カーミン液を一滴滴下し,カバーガラスをかけ核を観察する。
D細胞のスケッチを行う

   
 細胞内に葉緑体が観察される。    酢酸カーミン液で核を染色。

(3)ヒトのほおの内側の粘膜細胞
 動物の細胞として,自分の口腔の粘膜細胞を観察する。
@口をすすいでから,頬の内側をつま楊枝の頭で軽くこする。
Aつま楊枝の先についたものを,素早くスライドガラスになすりつけ,酢酸カーミン液を一滴滴下し,カバーガラスをかけ核を観察する。
B動物細胞は,細胞壁がないためバラバラになっていることを確認する。
C Aと同様に,酢酸カーミン液の代わりに,0.01%ヤヌスグリーン・アルコール溶液を一滴滴下し,カバーガラスをかけミトコンドリアを観察する。
*0.01%ヤヌスグリーン・アルコール溶液は,ヤヌスグリーン1gを蒸留水100gに溶かし,まず1%ヤヌスグリーン水溶液を作成し,この原液を15%エタノールで,さらに100倍に希釈する。ミトコンドリアは,濃青色に染まる。




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