(1997秋季日本火山学会講演要旨)


ニュージーランド,ルアペフ火山1995〜96噴火における

マッシュ状浅部マグマ溜まり:その1b噴出物組成の時間変化からの証拠

B和田恵治(北教大旭川),中川光弘(北大院・理),T.Thordarson(CSIRO, Aust.),P.Wood(IGNS, NZ),J.Gamble(ヴィクトリア大, NZ)

Mushy shallow magma storage system during 1995-96 eruptions of Ruapehu volcano,New Zealand: Part 1. Evidence from temporal variation of the eruptives.

K. Wada (Hokkaido Univ. Educ.), M. Nakagawa (Hokkaido Univ. ), T.Thordarson(CSIRO, Aust.), P.Wood (IGNS, NZ), J.Gamble (Victoria Univ., NZ)


はじめに:ニュージーランド・ルアペフ火山では,1995年9月-10月と1996年6月-7月にマグマ水蒸気爆発・ストロンボリ〜灰噴火が断続的におこった(総噴出量0.05km3).我々は噴火日のわかっているスコリア試料(95/9/18・9/23・10/11・96/6/17-18)を詳細に分析した.その結果,これらの噴出物はマグマ混合を経て噴出しており,しかも噴火日ごとに岩石学的性質に違いが認められ,マッシュ状マグマ溜まり内の複数のマグマポケットからそれぞれ噴出した可能性が高いことがわかった.

マグマ混合:噴出した本質スコリアは単斜輝石斜方輝石安山岩である(SiO2=57.7-58.5%).斑晶コアの組成範囲が広くかつbimodalな分布を示すこと(PL=An48-86,OPX=Mg#64-85,CPX =Mg#67-86),逆累帯構造と正累帯構造を示す斑晶が共存し,輝石斑晶がコアからリムで複数回の逆累帯構造を示すことから,95〜96年噴出物は,高温マグマ(T=1200-1000゜C,PL=An80, OPX=Mg#82,CPX=Mg#85)と低温マグマ(T=1000゜C, PL=An60,OPX=Mg#67,CPX=Mg# 70)が繰り返し混合したものと解釈される.

高温端成分マグマの多様性:95〜96年噴出物は上記のような共通した特徴をもつが,噴火日ごとに岩石学的性質に違いが認められる.すなわち(1)高Mg#CPX斑晶のWo成分が異なる(Fig.1),(2)全岩SiO2量が異なる,(3)石基ガラスのFeO量のトレンドが異なる.とくに9月23日と10月11日の噴出物の間で違いが顕著である.輝石温度計を使うと9月23日噴出物の高温端成分マグマは1100-1200゜C,10月11日噴出物のそれは1000-1150゜Cを示し,2週間後に新たな高温端成分マグマに変わったことがわかる.

マッシュ状マグマ溜まりと複数のマグマポケット:高温端成分は噴火とともに規則的に増加した傾向がないこと,高温マグマが別な種類に変わっていること,噴火様式が断続的で1回の噴火の噴出量が0.01km3以下であることから,95〜96年噴出物は,成層マグマ溜まりからではなく複数のマグマポケットにそれぞれ由来し,高温マグマが間欠的に低温マグマ溜まりに注入したモデルが最も考えやすい(Fig.2).最近50年間のルアペフ火山の間欠的な噴火様式を考えると,低温マグマ溜まりはマッシュ状であった可能性が高い.