大雪山の生いたちを探る 

 大雪山の生いたち
広大な大雪の山はマグマ噴火でできた

大雪山はどんな山?
火山 (概要,位置,火山地形)

大雪山はどのようにしてできたのか?
発達史のハイライト (溶岩円頂丘,お鉢平カルデラ,旭岳)

大雪山は何からできているか?
岩石と鉱物 (縞状溶岩と苦鉄質包有物)

写真1(溶岩円頂丘・お鉢平カルデラ・旭岳)写真2(旭岳・噴出物)

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(1994年公開講座から)
はじめに
 旭川の街とその背後につらなる大雪山.それは旭川を代表する最も象徴的な風景です.動植物がすむ深い森があり,私たちがすむ街に水を供給してくれる,そんな豊かな自然をもつ大雪山は私たちの誇りです.大雪山の自然を今後も大切にしたいものです.そのためには,大雪山のことを私たちはもっとよく知る必要があります.大雪山にはきれいな高山植物があり,秋には美しい紅葉がみられ,冬はスキーができる,いままで私たちはこんなイメージで大雪山をとらえていたのではないでしょうか.

 この講義のねらいは大雪山そのものを知ることにあります.大雪山はいったいどんな山なのか?大雪山はいつごろどのようにしてできたのか?大雪山はどんなものでできているのか?

 大雪山は火山です.およそ100万年前から最近(500年前)まで,ときおりマグマが地表にでて,それが冷えて固まって岩石となる,そういう活動つまり噴火を何回もくり返し成長してきたものです.噴火は静穏な時もあれば,ときに破壊的な活動にいたることもあります.層雲峡や天人峡にみられる垂直の岩壁は,大規模で爆発的な火砕流の噴火がおよそ3万年前におこってつくられたものです.その時は上川盆地へも泥流や土石流が流れてきたはずです.大雪山最高峰の旭岳はこの後にできた火山で,溶岩がたくさん流れました.

 噴火がおこるたびに大雪山の地表の景色は一変し,高山植物は壊滅したに違いありません.しかし大雪山の100万年の歴史の中でみると,噴火期間というのは非常に短く,噴火と噴火の間の休んでいる時間すなわち休止期の方が圧倒的に長いのです.大雪山は将来も噴火する可能性が高いので,現在は休止期にあるといえます.

 大雪山の生いたちは過去の噴出物にその記録が刻まれています.その記録を読みとるために,我々は野外調査を行います.露頭を観察することでイメージがふくらみ,アイデアもうかぶことがあります.現場で物をみることが地質学の場合非常に重要です.この講義では,大雪山のふところまででかけ,写真や図を使って大雪山の生いたちと岩石について説明します。そして大雪山の噴火の歴史に思いをはせて,現場でイメージをふくらませていただきたいと思います.