Project Description

北海道教育大学大雪山自然教育研究施設研究員
旭川校助教授 和田 恵治

新雪を被った山は地肌をおおわれ優雅に見えるが,山麓とのコントラストが明瞭ゆえに,山が大きく見えるのもこの時季である。上の写真は,初冬の旭岳(右)と熊ケ岳である。どちらも大雪山の中で新しい火山である。
旭岳は,西方から見ると,馬蹄形に開いた地獄谷火口があり,山頂から大きくえぐれられているのがわかる。水蒸気爆発によって山体が地滑り的に崩壊して生じたらしい。この事件は数百年前に起こったが,逆に火山の内部がどのようになっているのかという情報を提供してくれることになった(写真下)。崖に露出する成層した溶岩や火砕噴出物から何回もの大きな噴火があったことがわかる。
下の写真は,地獄谷の北斜面に露出する溶岩で高さは約10mである。旭岳山頂に至る登山道は向かいの稜線上にあり,かすかに何人かの登山者が写っている。