Project Description

北海道教育大学大雪山自然教育研究施設研究員
旭川校助教授 浅川 哲弥

ティラピア・ニロチカ(いずみだい)(Ti lapia nilotica LINNE)
スズキ目スズキ亜目キクラ科(カワスズメ科)ティラピア属。
写真1に示したようにアフリカ産の淡水性熱帯魚である。原産地は,ガレリア,ジョルダン,タンガニーカ湖。成長が早いので養殖種として日本に導入された。旭岳温泉では温泉水を用いて忠別漁業生産組合の養漁場で養殖されており,あさひだいと呼ばれている。各温泉旅館で写真2のような刺身料理を出している。大雪山自然教育研究施設の露天風呂の隣の池にても研究材料として飼育している。
最大体型:50cm,2500g
食性:雑食(幼魚のうちは動物性プランクトン,昆虫の幼生など,成長すると藻類,植物性プランクトンを食する。)
外部形態:体は偏平。背鰭,尻鰭,腹鯖には刺があり,不用意に魚体を掴むと手に刺さる。体色は繁殖期を除き,一般的には灰白色で,コイ,フナに近い。体側には,8~10本の漠然とした暗色横帯がみられる。更に保護色を有している。成長すると下顎から腹鰭付け根付近が黄色味を帯びる。
習性:水温20~35度が,適温で,24~30度が最適温。15度以下では死亡する。繁殖期には雄の婚姻色が顕著で,体全体が灰黒色となり,背鰭,尾鰭,腹鰭先端は淡紅色になる。産卵体形は20cmぐらいで,最適温であれば年中30~60日おきに産卵する。雄は縄張りを持ち,砂泥に円形の穴を作る。雌は,産卵後直ちに卵を口中に含む。卵は,6~7日(25度)でふ化するが,引き続いて子魚をほぼ2週間ほど口中で保護する。この習性のため,マウスブリーダーと呼ばれる。
利用:食用として主に用いられ,身は,白身で,弾力性にとみ,美味である。皮をはいだ体表側の肉色は,赤身を帯びており,真鯛の肉色に,類似している。食味感覚は,鯛,ひらめに近いが,肉質は幾分硬い。味は,鯛,ひらめとの中間的な味といわれる。主な料理形態としては,刺身,塩焼,照り焼き,バター焼き等が上げられる。煮物,揚げ物,鍋物,吸物などにも適する。