<旭川市における廃棄物処理に関するいろいろ>
【旭川における分別】
近文清掃工場の稼動と同時に、隣接地に近文リサイクルプラザを建設、旭川市においても5分別(可燃・不燃・資源・有害・粗大)のごみ収集がスタートしている。その後、分別品目も増えて、平成13年1月にPETボトル、平成14年12月からは蛍光管、平成16年1月からはダンボールが分別収集されている。プラスチック製容器包装と紙製容器包装の分別収集については、平成18年6月1日に導入され、旭川市内においては、容器包装リサイクル法が定めた10種類の容器包装に関する分別収集体制が整った。また、平成19年8月からスタートしたごみ処理費用の有料化にともない、新たに「廃食用油」(ガソリンスタンド等における拠点回収)「古布(綿50%以上)」(地区センター等における拠点回収)「落ち葉」が分別品目に追加された。
【旭川市におけるごみ処理費用の有料化】
旭川市では、ごみに関する問題を検討するための機関として「旭川市廃棄物等減量推進審議会」を設置しており、また、広く市民の意見を聴く場として、平成14年度には「ごみ減量化あさひかわ市民会議」、平成15年度には、「ごみ処理費用の適正化に関する市民懇話会」を開催している。平成16年1月29日、菅原功一市長は旭川市廃棄物等減量推進審議会に対して「家庭ごみ処理費用の負担(家庭ごみの有料化)について」諮問、平成16年度から審議会において家庭ごみの有料化についての審議が行われた。平成16年9月3日、廃棄物等減量推進審議会は「家庭ごみ処理費用の負担(家庭ごみの有料化)について」答申において、諸施策を講じることを条件として有料化推進の方針を明確にした。そして、平成19年8月1日より、「燃やせるごみ」と「燃やせないごみ」について、指定袋による有料化が導入された。
【最終処分場問題】
旭川市では、広大な土地を背景に、1996年に近文清掃工場が稼動するまで、ごみの全量を直接埋め立てによって処理していた。これまでに旭川には6箇所の最終処分場が作られたが、そのすべては江丹別地区に立地している。平成15年7月から、新たな最終処分場として、江丹別の中園処分場が稼動を開始したが、中園処分場建設をめぐっては、地元住民との深刻なコンフリクトが発生した。また、中園処分場の供用開始にともない芳野処分場が閉鎖されているが、現在も、管理のために多額の税金が投入されている。新たな処分地の開設の困難さおよび処分場の維持管理費用の問題を考えると、最終処分地に運び込まれるごみの減量は急務の課題である。
【近年の廃棄物処理実績】
下表に現れているとおり、旭川市における廃棄物処理は一応の進展を見ていると言ってよい。最終処分量は、直接埋め立てしていた1995年度と比べ、2005年度では約5分の1にまでなっている。2002年度からは、事業系一般廃棄物の搬入が原則廃止された効果が顕著に出ている。併せて、搬入ごみに対する処理費用の値上げ(2001年度253円/100kg、2002年度510円/100kg、2003年度104円/10kg)が、その後の減少に影響していると、市では分析している。
資源物については、搬入量5000t前後、出荷量3800t前後で安定推移している。搬入量と出荷量の誤差については、資源物以外の混入によるものと市では説明するが、破袋した際にアルミ缶に袋が巻きつくなど、選別時のロスによるものも少なくないものと思われる。回収された袋や選別し切れなかった資源物などはすべて最終処分されることとなる。ラインによる流れ作業という性質上やむをえない部分であるものの、他の自治体で導入されているコンテナ回収などを検討するべきなのかもしれない。
表:旭川市における最終処分量と資源物処理の実績 |
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最終処分量(t) |
資源物 |
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搬入量(t) |
出荷量(t) |
売却益 (万円) |
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1995年度 |
354908 |
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1996年度 |
284582 |
6348 |
4326 |
3100 |
2000年度 |
248636 |
5329 |
3829 |
3100 |
2001年度 |
227215 |
5146 |
3858 |
2600 |
2002年度 |
106957 |
5144 |
3758 |
2700 |
2003年度 |
85987 |
5195 |
3849 |
2500 |
2004年度 |
79824 |
5167 |
3826 |
3600 |
2005年度 |
74039 |
4973 |
3715 |
3800 |
【旭川におけるごみ減量化の試み】
上記の分別の拡大の他、旭川市では、家庭用生ごみ処理機および中型生ごみ処理機への助成、家庭における生ごみ堆肥化の推進キャンペーン、スーパーや消費者団体と共同してのノーレジ袋運動など、ごみの減量に向けてのさまざまな取り組みがなされている。旭川市内では、平成20年9月11日に、旭川消費者協会・旭川市と市内に複数の店舗を展開する8社との間で協定が締結され、10月1日からレジ袋の有料化が行われている。
【昭和40年代の埋め立て処分場一覧】
表からわかるとおり、1970年頃までは、比較的都心に近い地域の小規模処分地を利用していたが、経済発展および人口増加とともに急増したごみ量に対応するため、1972年から、周辺地域に大規模な処分場を作るようになったことがわかる。また、もう一つの重要な背景として、1971年からごみ収集の無料化が行われたことを指摘しておかなくてはならない。なお、1979年には中園処分場(1987年で閉鎖の見込み)が供用開始されている。なお、出典では、「ごみ戦争」を回避するため、焼却の導入と有料化が提言されている。
出典:旭川経済基本構想策定委員会,1981,『地方都市の自立と戦略 旭川経済の80年代ビジョン』泉文堂.