<社会学研究室における調査活動とごみ問題>
北海道教育大学旭川校社会学研究室では、2003年度からごみをテーマとして調査を行っている。主にコミュニティ計画演習において、学生みずから調査を企画し、文献検索・現地調査等さまざまな方法を駆使し、必要な情報を集めて論文・レポートを作成する能力を身につけることを目標として、それらの一連の作業を経験してもらうためのきっかけとして、ごみというテーマを取り上げたのであるが、実際に取り組んでみると、その内容の複雑さや難しさ、そして、ごみ問題を通じてまちづくりを考える、ある種の面白さに、教員である私自身が『はまって』しまっているのが現状であり、教員の個人的な関心に学生たちを引き込んでしまっている側面もなくはない。
ごみ処理は、技術的な限界が存在する今日においては、人間が生きていく上で避けてとおることのできない事柄であるが、自分たちの出したごみがどのように処理されており、その過程でどのような問題が発生しているのか、多くの人は意識していない。それゆえ、演習においては、調査の企画から論文作成までの一連の作業の習得と同様の重みで、社会に生きる人間として、ごみ問題への関心を喚起し、一連の演習の過程で習得したさまざまな知識を生活の実践の中において活用することも期待している。
<過去の演習内容>
2005年度
*コミュニティ計画演習TB
8名が受講。今年度は、家庭系ごみにおいてプラスチックとともに主成分となっている生ごみの処理について検討することを演習の目的とした。岩田進午/松崎敏英,『生ごみ 堆肥 リサイクル』(家の光協会,2001)を受講生がレポートし、生ごみ処理の方法について、堆肥化という観点から理解を深める。連休明けから、教員側からテーマを提示し、各自がそれぞれの関心にしたがってレポートを作成するという、従来の方式に則って演習が運営される。今回は、食品リサイクル法・農業と堆肥・生ごみの飼料化・諸外国での取り組み・首都圏での取り組み・北海道での取り組みなどについてレポートをまとめた。
2005年度コミュニティ計画演習Tの成果については報告書にまとめられている(旭川近郊の大学および公立図書館には配架をお願いしているので、そちらでも閲覧可能)。
2004年度
*コミュニティ計画演習T
昨年の演習に参加した3名に新たに9名が加わり、12名での演習となった。昨年度の結果を踏まえ、近年特に問題とされているプラスチックごみの処理についての調査・研究を行うこととした。まず、ごみ問題の概要を共有するため、寄本勝美著『リサイクル社会への道』(岩波新書:2003年)などを輪読、その後12名の学生は、@プラスチック問題の概要、A現在のプラスチック処理技術とその問題点、B容器包装リサイクル法とプラスチック、CPETボトルの4つのグループに分かれ、主にインターネットと文献(主に雑誌記事)を利用して関連情報を収集し、各自のグループでそれぞれまとめる内容などを討議し、レジュメを作成・報告した。
2004年度コミュニティ計画演習Tの成果については報告書にまとめられている(旭川近郊の大学および公立図書館には配架をお願いしているので、そちらでも閲覧可能)。
*総合演習
13名の受講生を4つのグループに分け、廃棄物行政に特色のある4都市(川口市・越谷市・伊達市・日野市)について各グループが調べるという、昨年同様のやり方を踏襲したが、今回の総合演習においては、インターネット上の情報だけではなく、各種の雑誌等に掲載された関連論文の検索や図書館サービスを利用した文献複写、自治体へ直接資料を請求する手続き等をレクチャーし、学生自身にすべてを行ってもらうことを試みた。今回は、受講生も適度でありかつ担当者にも時間的な余裕があったため、レポートの内容に対してかなり細かい修正等の指示を行うこととなった。そのため、自治体や関係諸機関への再度の資料請求や文献の再検索などの作業が繰り返され、全体としては、前年度の総合演習の水準を超えたものが出来上がったものと自負している。
2004年度総合演習の成果については報告書にまとめられている(旭川近郊の大学および公立図書館には配架をお願いしているので、そちらでも閲覧可能)。
2003年度
*総合演習
29名の学生が受講。全体を7つのグループに分け、ごみ対策の先進地域とされている7つの自治体(札幌市・善通寺市・名古屋市・沼津市・富良野市・)について、主にインターネット上の情報、各種の文献(主に雑誌記事)や自治体の発行する資料(各自治体に依頼文を発送して入手)などをもとに、グループごとに各自治体での取り組みをまとめ、レジュメを作成・発表した。また、都市規模別にグループを3つに統合し、都市規模による共通の特徴、そして各都市の独自な部分について、学生同士で討論し、最終レポートに反映させる新たな知見を発見することを試みた。
*コミュニティ計画演習T
大学院生1名、学部生8名の計9名が受講。ごみ問題に関する調査・研究を行うにあたって、その概要を共有するために寄本勝美著『ごみとリサイクル』(岩波新書:1990年)などを輪読し、地元旭川における廃棄物処理がどのようになされているかを、旭川市環境部リサイクル推進課への聞き取りと近文清掃工場への見学・職員への質疑応答を行った。
以上を踏まえつつ、参加した8名の学生がそれぞれごみに関わるテーマをみずからの関心にしたがって各自設定し、必要な情報を独自に収集し、レポートをまとめた。
2003年度に提出された最終レポートは報告書にまとめられている(旭川近郊の大学および公立図書館には配架をお願いしているので、そちらでも閲覧可能)。