旭川校は,中学校・高等学校の教員養成をメインにしたキャンパスである。そのため,本研究室では理科教育全般に関する研究を行っているが,中学校・高等学校における理科の学習をベースとした教材研究が中心である。具体的には,「研究内容」に記した通りであるが,それ以外のテーマも可である。ただし,指導教員の専門外については個人の努力に負う。本研究室では,理科教育学(教科教育)が中心テーマなので,配属希望に当たっては,まず基本的に教員志望であることが第1条件である。教員を第1志望としない場合,本研究室への希望はできるだけご遠慮願いたい。間違った研究室選びは,学生も大学教員もお互いにメリットはないからである。
その上で,本研究室の活動としては,自分の選択した研究テーマを真摯に捉え,実験や調査を熱心に行い,最終的には卒業論文を自他共に納得できるしっかりとした形にまとめ上げることが必要である。卒業論文は研究室で過ごす1年間の集大成である。テーマが何であれ,現時点で自分の持てる知的,肉体的能力を全て出し切り,未知なる課題を追究していく研究活動であり,将来的に必ず自分の人生にもプラスになるものなので,真摯に取り組んで欲しい。
一方,そもそも全国にある国立大学教育学部の使命は,地域への優秀な教師の輩出である。中学校・高等学校にあっては,学校の中心となり理科教育を推進できる教師,実践的でかつ専門性のある質の高い理科教師の育成が目標である。こうした観点から当研究室では,中・高校における優秀な理科教師の養成を最重要課題とし,将来教師となった時に,授業での高い指導力が発揮できるような実践的な内容の研究と指導を目指している。
教員を志望するからには,3年次後半から教員採用試験に合格するための勉強もしなければならず,卒業論文との両立はなかなか難しく,強い意志と努力が必要であり,それを達成することが当研究室の目標でありかつ基本方針である。4年生からは机が与えられるが,平日は講義以外は毎日研究室へ顔を出し,研究室で過ごすことが基本である。また,4年生には全員,1回以上,学会での発表をノルマとして課し,10月の学会へは全員で参加することにしている。
研究室で過ごす時間は,長いようでアッという間に過ぎてしまう。年間スケジュールはほぼ決まっているので,何事も計画的に行うことで4年後の卒業式を笑顔で迎えることが可能になる。当研究室では,卒論のテーマは個人毎に異なるが,内容については研究室全体で深めていくので,研究室のチーム力を重んじる。したがって,研究室の各行事には必ず参加する協調性が重視される。個人個人のアクティビティを高め,組織としてのチームワークを向上させることが,研究室の活性化につながる。4年生では,6月に教育実習があり,秋には各種の体験実習などもある。各自,短期,中期,長期の目標を立てて,計画的に有意義な1年間を過ごすことが重要である。
4月→理科教育専攻2年生が研究室配属。大学院1年は修士論文中間発表会。
5月→卒論の実験・調査継続。
6月→教育実習(4年生)。教員採用試験の願書申し込み。
7月→教員採用試験。圃場で育てた野菜でカレーパーティ。バーベキュー大会(採用試験と教育実習お疲れ会)。前期試験。
8月→理科教育関係の全国大会での学会発表(大学院)。教員採用2次試験。
10月→ひたすら卒論(4年生)。教員採用試験勉強会開始(3年生)。
日本理科教育学会北海道支部大会での学会発表(4年,大学院)。
3月→卒業,進学,就職。3年生卒論テーマ模索。
2015年度
大学院
・理科と数学を関連付けた単位学習の有効性と新教材の開発
学部
・フラクタルを用いた理科と数学の関連を重視する授業の開発
・学校教育と動物園・水族館との連携の現状と課題
・アイテラリウムを用いたファストプランツの教材化
・理科における授業方法の違いによる教育的効果の検証−実験の有無の比較から−
2014年度
学部
・科学館における科学教育と学校における理科教育との連携に関する意識調査
・学校ビオトープを利用した小学校における自然体験活動が児童に及ぼす教育 効果
・教科書における浮力に関する実験の検討と授業実践
・理科と数学の領域固有性に関する調査V−等加速度運動を例として−
2013年度
大学院
・学校ビオトープを活用した自然体験活動が児童に及ぼす教育的効果の検証
・e-ラーニングを活用した生物教材の検討−植物分野における素朴概念調査に もとづいて−
・理科と数学の関連性を重視した授業の有効性
学部
・樹木拓本を利用した小学校における自然体験活動
・アイテラリウムを用いたキアゲハ育成の教材化
・運動の規則性に関する中学校理科教科書の比較と授業での効果
・理科と数学の領域固有性に関する調査U−等速直線運動を例として−
・理科と数学における生徒の「単位」に対する認識
2012年度
学部
・新学習指導要領の実施に伴う中学校理科教科書の比較
・理科と数学の領域固有性に関する調査
・生分解性プラスチックを利用したデンプンの分解実験の可視化
・小学校教員志望学生の動物園利用に関する調査
2011年度
学部
・小学校におけるビオトープを用いた自然体験活動
・マラルディの角を利用した理科と数学の関連性を重視した授業の開発
・理科におけるICT機器の活用と生物の継続観察に関する大学生の意識
・ケプラーの法則を追体験させる科学史を利用した指導
2010年度
大学院
・遠隔制御型生物育成システムを用いた生物教材の検討と授業実践
学部
・中学生を対象としたDNAに関する教材開発と授業実践に関する研究
・サトウキビを用いたバイオマスエネルギーの教材化
・科学館における科学教育と学校における理科教育との連携に関する意識調査
・生分解性プラスチックを用いただ液アミラーゼの加水分解
2009年度(所属先移動のため変則的)
大学院
・地域における科学教育と学校教育の理科との関わり
2008年度
大学院
・酸性雨・土壌を対象とした高等学校における環境教育に関する研究
学部
・イグサの教材化に関する基礎的研究U
・小学校における効果的なICTの利用
・高等学校におけるビオトープ作りの実践
・「青少年のための科学の祭典」誕生の経緯と現状
・サトウキビを利用したバイオマスエネルギーの教材研究
2007年度
大学院
・地域における科学実験活動の調査
学部
・中学校における選択理科の教材研究〜酸・アルカリ,中和反応を例として〜
・自由研究の系譜と小・中学校における現状
・種子の発芽における環境条件の影響と教材化の研究
・イグサの教材化に関する基礎的研究
・ビオトープの目的と現状
・初等理科における楽しい授業作りの実践