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研究内容
SERVICE&PRODUCTS


専門は理科教育,科学教育,生物教育,生物生産科学(植物生理・生態学,作物学),鱗翅目(チョウ類)の生態・生理。
現在,以下の@〜Jの内容を中心に研究を行っている。基本的には,小・中・高等学校の理科授業における観察・実験に関わる教材開発がメインである。
その内容は多岐にわたるが,教材としては,生物分野に関する内容が多い。

@初等中等理科教育における観察や実験に関する教材の開発(中学校における遺伝教材の検討,植物の要素欠除試験,生分解性プラスチックの利用など)
A生物や環境に関する調査および指導事例の開発(ビオトープの調査や制作,酸性雨を題材とした環境教育の指導プログラムの開発)
B理科の自由研究に関する調査研究(自由研究の経緯,理科の自由研究の現状,自由研究に対する生徒や教師の意識,科学コンテストとしての理科の自由研究の方向性)
C学校における理科教育と地域における科学教育の連携についての調査(学校の教師と科学館職員との意識の違い,ネオ科学・面白実験の功罪について)
D植物生理・生態学に関する研究や植物のバイオマス生産に関する研究(耐乾性hardeningなど種子の発芽生理,植物の蒸散・光合成,イグサ群落の吸光係数,水耕栽培,サトウキビからのエタノール抽出など)
E小・中・高等学校における観察・実験の現状と実施率の調査(中学校における実施状況の背景や原因,観察・実験に対する教師の意識)
F課題解決学習や課題選択学習など主体的な探究活動の効果(通常の授業との生徒の意識の比較)
G理科と数学の関連性についての研究(領域固有性の観点からの調査,ミツバチの巣礎からマラルディの角を学ぶ指導法の開発)
H理科の授業における科学史導入の効果の検証(ケプラー第一法則の追体験,光合成発見の歴史など)
I理科の授業におけるICTの活用(遠隔操作型生物育成システムによる生物の長期観察,学校外から遠隔で理科室の生物を生育させる管理システムの利用)
J鱗翅目(チョウ類)の生態・生理の研究,北海道に生息するチョウ類の生態に関する研究(キアゲハ,アカマダラ,モンキチョウなど)


  • 【科研費,その他外部資金】
2020〜2021年
小学校の理科授業中45分間にチョウを羽化させる制御方法の検討 (文部科学省,挑戦的研究(萌芽),研究代表者)


2019〜2022年
科学技術の醸成に寄与し「理数教育の充実」をはかる学習デザインの構築(文部科学省,基盤研究(B),研究代表者)


2016〜2019年
「理数教育の充実」をはかる理科と数学を関連付けた指導プログラムの開発と実践 (文部科学省,基盤研究(C),研究代表者)

2013〜2016年
理科と数学の関連性を重視し「理数の力」の充実を目指す指導プログラムの開発と実践 (文部科学省,基盤研究(C),研究代表者)

2012年
光合成をしている葉の様子を時間を追って調べてみよう!
(日本学術振興会,平成25年度「ひらめき☆ときめきサイエンス〜ようこそ大学の研究室へ〜KAKENHI」)

2010〜2013年
遠隔制御型植物育成システムを利用した理科実験プログラムの開発とその実践 (文部科学省,基盤研究(C),研究代表者)

2011年
教材と実験器具の比較から考察する6社の小学校理科教科書
(財団法人,中央教育研究所)

2007〜2009年
植物のバイオマス生産から学ぶ理科教育指導プログラムとその教材開発
(文部科学省,基盤研究(C),研究代表者)

2003年

多摩川ニヶ領用水から取水した水田におけるイネの生育に関する生理生態学的研究(とうきゅう財団,多摩川およびその流域の環境浄化に関する調査・試験研究助成金)

2002年
ハードニング処理による種子発芽の低温耐性付与に関する研究(文部科学省,奨励研究)

2000年
植物の初期生育過程におけるハードニング処理効果に関する研究(文部科学省,奨励研究)


  • 遠隔制御型生物育成システム(Aiterrarium)
 生物をガラス容器等で飼育・栽培する技術や装置をテラリウム (Terrarium) という。Aiterrarium(アイテラリウム)は,パナソニック電工が開発した,離れた場所からパソコンや携帯電話等を用いて,照明,温度,土壌の潅水等が制御でき,各種センサーによって得られたデータや,ネットワークカメラによる画像をサーバーに蓄えることができる生物育成・管理システムである。本研究室では,パナソニック電工の協力のもと,この装置を大学や学校現場に複数台設置し,ネットを通じた遠隔操作により,大学と学校の実験データを共有し,学校から大学内のAiterrariumに指令を出したり,リアルタイムで離れた他器を観察したりと,さまざまな実験・観察を行ない,生物の長期栽培・飼育の簡略化や効率化,理科授業におけるICTの活用,新しい観察の一方法として本器の活用を模索している。
   
       Aiterrariumシステムのネッワーク構成 

   
           AiterrariumのPC上での操作画面

 Aiterrarium内におけるキアゲハの飼育(Web Cameraで遠隔撮影)
   
  ミツバへの産卵       1齢幼虫       2齢幼虫
   
    3齢幼虫        終齢幼虫        前蛹 
   
  蛹(中が透けている)     羽化         交尾

    

    
       蛹化の瞬間 Aitterariumuでの自動撮影画像


  • 理科の自由研究
 理科の自由研究は,わが国の学校教育の中で,古くから夏休みの課題という形で大半の児童・生徒が経験しており,教科書にも3〜7頁が割かれ,その方法が詳細に掲載されている。夏休みの宿題に留まらず,日本学生科学賞をはじめ,海外の科学コンテストに繋がっているものも多く,主体的な探究活動として,理科学習の一端に多大な効果をあげていることは周知の通りである,しかし,学習指導要領には具体的な記述はなく,明確な位置付けはされていない。本研究室では,このような理科の自由研究の歴史的経緯,現状,生徒と教師の意識,教育課程における位置付け等について調査・研究している。
     

       理科の自由研究に関わる主な科学コンテスト
 


  • 学校ビオトープ
 Biotopeとは,生きもの(Bios)と,場所(Topos)を合成したギリシャ語起源のドイツ語で,本来は「生きものがくらせる場所」を意味する。現在では,周辺地域から明確に区別できる性質を持った生物の生育環境の地理的最小単位として,ある地域の具体的な生態系を指して言うことが多い。学校におけるビオトープは,特に学校ビオトープと言われ,自然復元の場と環境教育の場という二面性を持つとされ,その教育的効果が期待される。
  
    2007年に調査した福岡市内の2つの小学校のビオトープ 

  
 設計から制作まで関わった福岡県立A高等学校のビオトープ(左)
 現在,授業実践を行っている北海道富良野市立B小学校のビオトープ(右)